グループ企業とのコミュニケーション、スムーズにできていますか?
企業の成長や変化に伴い、IT環境も複雑化していきます。日々の業務にちょっとした「やりにくさ」を感じる場面は少なくありません。特に、複数のテナントをまたいだやり取りや運用は、思った以上に手間がかかるものです。

  • グループ企業との Teams のやり取りをもっとシームレスに行いたい
  • M&A 後のテナント統合のハードルが高すぎる
  • 地域・部門ごとにテナントを分けて運用をしたい

このような課題に直面している企業にこそ、Microsoft 365 マルチテナント の導入をおすすめします。

Microsoft 365 マルチテナントとは

複数の Microsoft 365 テナントをまたいで、ユーザーやリソースをシームレスに 連携・共有できるようにする仕組みです。特に、企業グループや合併・買収後の組織などで、複数の Microsoft 365 テナントが存在している場合に有効な機能です。

Microsoft 365 マルチテナントの構成の仕組み

Microsoft 365 マルチテナントを使用するには、以下3つの構成をする必要があります。

  1. 所有者テナント(Owner Tenant)
    マルチテナント組織を作成する、中心となるテナントが必要です。
    他のテナントを「メンバー」として招待することのできるテナントです。
     
  2. メンバーテナント(Member Tenant)
    所有者テナントに参加する他のテナントです。
    ユーザーやリソースを所有者テナントへ共有可能となります。
     
  3. ユーザー同期
    Microsoft Entra ID を使って、テナント間でユーザー情報を同期します。
    同期されたユーザーは「メンバー」として扱われ、Teams などでのコラボレーションが可能となります。
     
構成イメージ図

Microsoft 365 マルチテナントの主な機能とメリット

  • Entra ID(ユーザー情報)の同期
    ユーザー情報の自動同期を行うことができます。同期を行う範囲は、ユーザー単位、グループ単位、テナント単位から選択でき、幅広いニーズに対応できるようになっています。
     
  • Teams
    招待なしで、異なるテナントのユーザーが、1つの Teams 環境で共同作業ができるようになります。
    また、チャットのやり取りに関しては、テナントの切り替えなしで、運用が可能です。
     
  • SharePoint / OneDrive
    マルチテナント構成を組んだメンバーテナントのユーザーは、所有者テナントでは組織内ユーザーの扱いとなります。組織外への SharePoint / OneDrive の共有権限を厳しくしたまま、つまりセキュリティレベルを保ったまま、メンバーテナントへファイルの共有が行うことができます。
     
  • SSO(シングルサインオン)
    所有者テナントで SSO を設定をしている外部サービスへ、メンバーテナントのアカウントも SSO することが可能になります。
SSO イメージ図

Microsoft 365 マルチテナントの注意点と課題

  • ライセンス管理の煩雑さ
    Microsoft 365 テナント間では、ライセンスの受け渡しをすることができません。
    ライセンスの管理はテナントごとに行う必要があります。
     
  • ユーザー情報の整合性
    各テナントでユーザー情報がバラバラだと、混乱や重複が発生します。
    属性(部署名、役職など)の統一ルールを決める必要があります。

最後に

以上、Microsoft 365 マルチテナントの概要をご紹介しました。
完全なテナント統合と比べると一部制限はあるものの、統合にかかるコストや運用負荷を考慮すれば、十分に検討する価値のある選択肢ではないかと思います。
Microsoft 365 マルチテナントについて興味をお持ちになりましたら、お気軽にお問い合わせください。