QRコードは、特に現場で働く従業員にとって、複雑なパスワードを使わずにシステムへアクセスできる迅速かつ簡単な認証手段として広く利用されています。しかし、適切なセキュリティ対策が講じられていない場合、QRコードは攻撃者に悪用される恐れがあります。

Microsoft Intune を使用することで、組織全体に対してQRコード認証に関するセキュリティポリシーを適用し、認証が許可されたユーザーのみに限定することが可能です。

なぜ QRコード認証のセキュリティが重要なのか

QRコードは便利な一方で、以下のようなセキュリティリスクを伴います。

  • 悪意ある QRコード によるフィッシングサイトへの誘導
  • 許可されていないアプリでのスキャン(例:個人のカメラアプリでセキュリティを回避)
  • 中間者攻撃 による QRコード認証情報の傍受

Microsoft Intune を利用し、以下を適用することにより、こうしたリスクを低減することができます。

  • デバイスのコンプライアンス確認
  • アプリの制限
  • 条件付きアクセス ポリシー

主なユースケース:現場従業員向けの QR + PIN 認証

QRコード認証は「シンプルさ」を重視して設計されており、複雑なパスワードを使用せずに素早くアクセスする必要がある現場従業員に最適です。仕組みは以下の通りです。

ユーザーごとに一意の QRコード

各ユーザーに対して、一意の QRコードが割り当てられます(ユーザー識別子として機能)。
QRコードは以下の方法で管理者が発行できます。
 ・Microsoft Entra 管理センター
 ・My Staff ポータル
 ・Microsoft Graph API

一時的な数値 PIN

QRコードとともに、一時的な PIN(数値コード)が生成され、ユーザーに共有されます。
ユーザーは初回ログイン時に PIN を変更する必要があります。
この PIN は該当する QRコード専用であり、他では再利用できません。

シングルファクター認証(SFA)

この方式はシングルファクター認証(SFA)と見なされます(PIN が認証情報となる)。
管理者は以下の設定が可能です。
 ・PIN の桁数(長さ)
 ・PIN の有効期限(使用可能な期間)
 ・PIN の複雑さ(英数字混在など)は設定不可(簡便さを重視しているため)

ベストプラクティス

  • QR + PIN 認証は現場従業員のみに使用し、高セキュリティが求められるシナリオでは使用しないでください。
  • 条件付きアクセス(例:Intune 管理下のデバイスが必須)と組み合わせて使用することを推奨します。

ベストプラクティス実現のためのステップ

ステップ 1:QRコードのスキャンを信頼されたアプリに制限する
従業員がセキュリティ保護のないカメラアプリを使って認証しないようにするために以下を実施します。
1.Microsoft Authenticator など、企業承認済みの QRコード スキャナーアプリを Intune で配布します。
2.個人のカメラアプリをブロックするために、アプリ保護ポリシー(APP)を使用します。
3.Intune の 「許可されたアプリ」リストを使用して、企業承認済みのスキャナーアプリのみをホワイトリストに登録します。

ステップ 2:QR 認証にデバイスのコンプライアンスを強制する
管理された準拠デバイスのみが QRコードで認証できるようにします。
1.Intune でコンプライアンスポリシー(暗号化の必須化、OS アップデートの強制など)を有効化します。
2.条件付きアクセスを使用して、準拠していないデバイスからの QR ログインをブロックします。

ステップ 3:QRコードによるフィッシング攻撃を防止する
攻撃者が悪意あるリンクを QRコードに埋め込む可能性があります。以下の対策でこれを軽減できます。
 ・QR 認証を企業ネットワーク内のみに制限(Intune のネットワークポリシーを活用)
 ・Microsoft Defender for Endpoint を使用して悪意ある URL をブロック
 ・ユーザーへの教育(スキャン前に QRコードの出所を確認するよう指導)

ステップ 4:QRコード認証の監視と監査
QRコードを利用した認証試行は、以下の方法で追跡・監査できます。
 ・Intune のログ(デバイスのコンプライアンス確認)
 ・Azure AD のサインインログ(条件付きアクセスのイベント確認)
 ・Microsoft Sentinel(高度な脅威検出)

まとめ

QRコード認証は、現場従業員にとってシンプルかつ効果的な方法ですが、厳格なセキュリティ管理が不可欠です。
Microsoft Intune を活用することで、企業は以下の対策を講じることができます。
 ・信頼されたアプリにのみスキャンを許可
 ・セキュリティが不十分なデバイスによる QR ログインをブロック
 ・悪意ある QRコードによるフィッシングを防止
 ・QR + PIN 認証を本来の用途のみに限定して運用

本記事をご覧いただき、Intune を活用した QRコード認証の具体的な設定方法や運用方法について詳しく知りたい方は、お気軽に Livestyle までお問い合わせください。